【よくある質問】以前から父の預貯金の財産管理を行っていたのですが、このまま正式に成年後見人になった場合は何をすればいいのでしょうか?
以前から父の預貯金の財産管理を行っていたのですが、このまま正式に成年後見人になった場合は何をすればいいのでしょうか?
成年後見人は、家庭裁判所に申し立てをして裁判所から選任された者が就任します。では、財産管理を行っていたご子息が成年後見人になった場合、直後に行う具体的な業務を確認してみましょう。
財産を調査して財産目録を提出する
成年後見人は遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、原則として1カ月以内に財産目録を作成して家庭裁判所に提出しなくてはならない、とされています。
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もしこの期間で間に合わないことが明らかであればあらかじめ家庭裁判所に事情を説明し、期間の伸長を求めておきます。 預金があることが明らかな銀行等については、「後見届出」を行って、必要な場合には残高証明書を出してもらいます。
後見届出を行うことは、成年後見人以外の者が勝手に財産を引き出すのを防ぐ「ロック」の役割もあります。 もし、過去の預貯金の流れで不明瞭な部分を明らかにする必要がある場合(第三者による不正な引出しがされている疑いがあるなど)は、解約された部分も含めて履歴を出してもらい、調査するべきでしょう。
現在、預金があるかどうかが不明であるが、利用明細などから利用履歴が推測される口座については「現存調査」といって、現在生きている口座があるのかどうかも調査しておきます。 不動産については登記簿謄本などを取り寄せて権利関係を確認しておきます。
株式などの有価証券は、証券会社からの郵便物をもとに現在保有しているものを整理しておきます。 財産目録の書式は家庭裁判所から最初に送られる「後見開始の審判書」に同封されているはずですので、この中で不明な点があれば裁判所に質問しながら作成しましょう。
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後見計画を作成する
成年後見人の職務は財産管理と身上監護の2つに分けられます。これは実質的な介護や看護という意味ではなく、事務的な面でサポートするというものです。 家庭裁判所から求めがあった場合は成年後見人は「年間収支予定表(今後の見込み)」や「収支状況報告書(過去のもの)」を作成して提出します。
財産管理の方針や解決すべき課題(今後、介護費用のために財産を処分しなければならない見通しなど)についても記述しておくべきでしょう。
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関係機関への届出
財産調査の項目でも説明しましたが被後見人が取引している金融機関や保険会社、証券会社などに成年後見人が選任されたことを連絡し、届け出ておきます。 また、社会保険事務所などに届け出て、その後の連絡先を成年後見人にしておき、年金受給権を確保する必要があります。
成年後見人就任当初は何かと事務処理が多いのですが、期間に遅れないように確実にこなしていきましょう。
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